このセクションでは Muttの使い方を簡単に説明しています。このセクションで書かれていること以外にも多くの機能があり、マニュアルの他の場所で説明されています。また Mutt FAQ や様々な web ページにも多くの情報があります。詳しくは Mutt Pageを見てください。
ここで説明されているキーバインディングはデフォルトのものです。システム管理者があなたのサイトのデフォルトのキーバインドを変えている場合もあります。どのメニューの中にいても「?」を入力すると現在のキーバインドが表示されます。
まずはじめにすることはコマンドラインから muttと入力して muttを起動することです。コマンドラインのオプションについては muttの manページか referenceを参照してください。
情報は ELMと同じようにメニューの中に表示されます。メニュー内の移動によく使われるキーを表にしておきます。
j or Down next-entry 次の項目へ移動 k or Up previous-entry 前の項目へ移動 z or PageDn page-down 次のページへ行く Z or PageUp page-up 前のページに行く = or Home first-entry 初めの項目に移動する * or End last-entry 最後の項目に移動する q quit このメニューを終了する。 ? help このメニューのキーバインドを表示する
Muttは e-mail アドレスやファイル名等のような簡単な入力をするためのラインエディタを内蔵しています。編集中のカーソルの移動は Emacsに似たものになっています。
^A or <Home> bol 行頭に移動する ^B or <Left> backward-char 1文字戻る Esc B backward-word 1語戻る ^D or <Delete> delete-char カーソルの下の文字を消す ^E or <End> eol 行末に移動する ^F or <Right> forward-char 1文字前に進む Esc F forward-word 1語前に進む <Tab> complete ファイル名やエイリアスを補完 ^T complete-query クエリーによるアドレスの補完 ^K kill-eol 行末まで削除 ESC d kill-eow カーソルから単語の最後までを削除 ^W kill-word カーソルの前の1語を消す ^U kill-line 一行全部を削除 ^V quote-char 次に入力するキーに引用符をつける <Up> history-up ヒストリーから直前の文字列を取り出す <Down> history-down ヒストリーから次の文字列を取り出す <BackSpace> backspace カーソルの前の文字を消す Esc u upcase-word 単語を大文字に変換 Esc l downcase-word 単語を小文字に変換 Esc c capitalize-word 単語を大文字ではじめる ^G n/a 取消 <Return> n/a 編集の終了
bindコマンドを使って編集機能用のキーの割当を変える事ができます。例えば
Deleteキーでカーソルの下の文字でなくカーソルの前の文字を消すようにしたいのなら、次のようにしてください。
bind editor <delete> backspace
他のメールクライアントと同じようにメールを読むのに Muttには2つのモードがあります。始めのモードはメールボックスのメッセージの一覧を表示します。これを Muttではインデックスと呼んでいます。2番目のモードはメッセージの内容を表示します。これをぺージャーといいます。
以下のいくつかのセクションで各々のモードの機能を説明していくことにしましょう。
c 他のメールボックスへかわる C カーソルのあるメッセージを他のメールボックスへコピー ESC c フォルダーをリードオンリーモードに変える ESC C メッセージをデコードしフォルダーへコピー ESC s メッセージをデコードしフォルダーへセーブする D パターンにマッチするメッセージに削除マークをつける d カーソルのあるメッセージに削除マークをつける F 重要なメッセージとしてマーク l パターンにマッチするメッセージを表示する N 新しいメッセージとしてマークする o ソートの方法を変える O メールボックスを逆向けにソートする q セーブして終了 s メッセージのセーブ T マッチするパターンのメッセージにタグをつける t メッセージのタグのオン、オフのトグル ESC t メッセージスレッド全体へのタグのオン、オフ U パターンにマッチするメッセージの削除マークを消す u メッセージの削除マークを消す v 添付ファイルを見る x セーブせずに終了 <Return> メッセージを表示 <Tab> 次の新しいメッセージに移動 @ 完全な e-mailアドレスの表示 $ 変更をメールボックスへ保存 / 検索 ESC / 逆方向へ検索 ^L 画面を消して描き直す ^T パターンにマッチするメッセージのタグを消す
メッセージの送り主とサブジェクトだけでなく、簡単なメッセージの状態を表すために次のような「フラグ」がメッセージ番号の横に表示されます。
D 削除された(削除マークのついた)メッセージ d 削除マークのついた添付ファイルがあるメッセージ K PGP公開キーを含むメッセージ N 新しいメッセージメッセージ O 古いメッセージ P PGPで暗号化されたメッセージ r 返信済みのメッセージ S PGPサインが入り、その署名が確かめられたメッセージ s PGPのサインが入ったメッセージ ! 重要であるというフラグがつけられたメッセージ * タグがつけられたメッセージ
いくつかの状態を表すフラグは次のようにしてオン、オフすることができます。
また次のフラグはメッセージがだれ宛のものかを表します。これは $to_chars変数によって変更することができます。
+ メッセージはあなた宛で、他の人には送られていない T メッセージはあなた宛だが to または cc で他の人にも送られている C メッセージは cc であなたに送られてきた F あなたが送ったメッセージ L 購読しているメーリングリストに送られたメッセージ
デフォルトでは Muttはメッセージの内容を表示するのに内蔵されたぺージャーを使います。このぺージャーは Unixプログラムの less に似ていますが、lessほど多機能ではありません。
<Return> 1行下に移動 <Space> 次のページを表示 (すでにメッセージの終りまで表示している場合は、次のメッセージを表示) - 前のページに戻る n 次のマッチするパターンを探す S 引用文を飛ばす T 引用文の表示のオン、オフのトグル ? キーバインドを表示 / 正規表現での検索 ESC / 正規表現で後ろ向けに検索 \ 検索パターンの色付けのトグル ^ メッセージの先頭にジャンプ $ メッセージの最後にジャンプ
さらに、ページャーはインデックスから多くの機能を引き継いでいます。例えばメールを削除(delete-message)したりメールをコピー(copy-message)したりする機能がそうです(これが外部ページャーではなく内蔵のページャーを使う利点の一つです)。
内蔵のページャーにはさらに2つの優れた機能があります。1つ目は内蔵のページャーは nroff の太字と下線という標準のシークエンスを理解できることです。太字の場合、文字-バックスペース(^H)-文字、下線つき文字の場合、文字-バックスペース- _ 、のシークエンスです。端末がそれらをサポートしていれば Mutt はこれらの文字列をそれぞれ太字と下線つき文字として表示しようとします。もし端末がサポートしていなければ、太字と下線つき文字のシークエンスは色をつける対象となっていますのでカラー端末なら色属性を、白黒端末なら白黒属性をそれぞれ自分でつけることができます(参照: color色属性と白黒属性 を使う)。
もう一つは内蔵ページャーは文字属性に関する ANSI エスケープシークエンスをサポートしていることです。Mutt はそれらのシークエンスを正しい色と文字設定に解釈します。Mutt がサポートしているシークエンスは:
ESC [ Ps;Ps;Ps;...;Ps m Psは Ps= 0 全ての属性を消す 1 太字にする 4 下線つきにする 5 明滅させる 7 色を反転表示させる 3x foreground の色を x にする 4x background の色を x にする 色は 0 黒 1 赤 2 緑 3 黄 4 青 5 赤紫 6 青緑 7 白
text/enriched メールを扱うのに Mutt はこれらの属性を使います。またこれらは外部の autoview(自動閲覧)スクリプトから色づけの目的で使うこともできます。
注意: ディスプレイの色を変えていた場合には、その色が代わりに使われます。例えば、color2に関連づけられている色を他の色に変更していた場合はその色が緑の代わりに使われます。
メールボックスがスレッドで並べられている( sorted)場合は他にいくつかの機能がインデックスとページャーで利用できます。
^D delete-thread 現在のスレッドの全てのメールに削除マークをつける ^U undelete-thread 現在のスレッドの全ての削除マークを消す ^N next-thread 次のスレッドの最初に移動 ^P previous-thread 前のスレッドの最初に移動 ^R read-thread 現在のスレッドを既読にする ESC d delete-subthread サブスレッドのメールを全てに削除マークをつける ESC u undelete-subthread サブスレッドのメールの削除マークを消す ESC n next-subthread 次のサブスレッドに移動 ESC p previous-subthread 前のサブスレッドに移動 ESC r read-subthread サブスレッドに既読のマークをつける ESC t tag-thread スレッドのタグ付けのオン/オフのトグル ESC v collapse-thread 現在のスレッドを折り畳む/広げるのトグル ESC V collapse-all すべてのスレッドを折り畳む/広げるのトグル P parent-message スレッドの親メッセージにジャンプする
注意: スレッドを折り畳むとはスレッドの最初のメールだけ表示して残りのものは隠しておく機能のことです。一つのスレッドに多くのメールが含まれていてスクリーン上にわずかなスレッドしか見えない場合に便利です。 $index_formatの設定の %Mを参照して下さい。例えば、 $index_formatに "%?M?(#%03M)&(%4l)?"を加えることでスレッドが折り畳まれている時に隠れているメールの数を表示 させることができます。
参照: $strict_threads
エイリアスの作成 / create-alias (default: a)
現在のメールをもとに新しいエイリアスを作成します(メールを選択してなければどのようなエイリアスを作成するかのプロンプトを表示します)。編集を終えると、いま設定した aliasが後々使えるように $alias_file で指定したファイルに加えられます。注意: $alias_file を指定するだけではそこに書かれているエイリアスはエイリアスとして機能しません。 source コマンドを実行してそのファイルを読み込む必要があります。
古い方法の pgpのチェック/check-traditional-pgp (default: ESC P)
これは読んでいるメッセージの中に正しく MIMEタグを使っていない古い方法で PGPを使って署名または暗号化された内容がないかどうかを調べます。技術的には PGPデータを含んだボディーパートの MIME content typeを一時的に変えます。 edit-type機能の効果と似ています。
へッダの表示 / display-toggle-weed (default: h)
ignore コマンドで指定された余分なヘッダーフィールドの表示のオン/オフ のトグルです。
このコマンドは現在のメールを編集するコマンドでインデックス(index)とページャー(pager)で使うことができます。編集を終えると変更されたメールが現在いるフォルダに付け加えられ、もとのメールに削除マークがつきます。
添付ファイルの typeの編集/edit-type (default: 添付メニュー、ぺージャー、インデックスメニューでは^E、 メール作成(compose)メニューでは ^T)
このコマンドは添付する物の content type を一時的に編集するのに使います。インデックスかぺージャーからこのコマンドを使うとトップレベルの content typeを変えることができます。また attachment menuからこのコマンドを使うとすべての添付物の content typeを編集できます。ただし、これらの編集の効果は永続的ではなくフォルダーを変えると失われます。
このコマンドは compose menuでも使うことができます。メッセージを送信するときに添付ファイルの性質を調整するのに使ってください。
コマンドの入力 / enter-command (default: ``:'')
このコマンドは通常は設定ファイルの中で使うコマンドを実行するのに使います。これは設定している値のチェックに使ったり、 macrosを使って設定をすぐに変更するのに便利です。
PGP公開鍵を取り出す / extract-keys (default: ^K)
このコマンドは現在のメールもしくはタグ付けされたメールから PGP公開鍵を取り出し、それらをPGP公開鍵リングに加えるコマンドです。
パスフレーズをメモリ上から消去 / forget-passphrase (default: ^F)
このコマンドは PGP パスフレーズをメモリ上から消去します。パスフレーズを書き間違えた場合などに便利です。
メーリングリストに返信 / list-reply (default: L)
現在のメールもしくはタグ付けつけされたメールに返信する際に
lists or subscribeコマンドで指定されているアドレスにマッチするアドレスを取り出して返信するコマンドです。それだけではなく、もし
$honor_followup_to変数が設定されていたら Mail-Followup-To
へッダが付け加えられます。メーリングリストに送信されているメールに返信する時にこのコマンドを使うことでメーリングリストと差出人に二重に送信するのを避けるのに使うことができます。
パイプ / pipe-message (default: |)
外部から Unix のコマンドを呼び出し、現在のメールもしくはタグ付けつけされた メールをパイプに通します。 $pipe_decode、 $pipe_split、 $pipe_sep、 $wait_key変数がこの機能の動作をコントロールします。
メッセージの再送 / resend-message (default: ESC e)
これを使うと mutt は現在のメッセージを新しいメッセージのテンプレートにします。つまりこれは任意のディレクトリからの転送を可能にします。この機能はもとのメールの構造を壊すことなく、MIMEメッセージを転送するのに便利です。これに含まれるへッダーの量は $weed変数に依存します。
この機能は添付メニューからも使えます。これを使えば簡単に message/rfc822 body part として来たメッセージを再送できます。
シェルコマンドの実行 / shell-escape (default: !)
外部の UNIX コマンドを呼び出し実行します。 $wait_key でコマンドから復帰した時に Muttが(コマンドの出力をユーザーが読めるように)なんらかのキーが押されるのを待つかどうかをコマンドの戻り値によってコントロールできます。
引用部分を表示するかどうかのトグル / toggle-quoted (default: T)
ページャーは $quote_regexp変数を使ってメールの本文を表示する時に引用部分を判断します。この機能はメールの引用部分を表示するかどうかのトグルです。返事の部分だけに興味があったり大量の引用があったりするときに役に立ちます。
引用部分をスキップ / skip-quoted (default: S)
この機能は引用されていないテキストの次の行に移動します、つまり内部ページャーで引用行と判断されるテキストをスキップするコマンドです。
次のコマンドはメールを送信する時にインデックスで利用できるコマンドです。
m compose 新しいメールを作成する。 r reply 送信者に返信する。 g group-reply 受信者全員に返信する。 L list-reply メーリングリストのアドレスに返信する。 f forward 転送する。 b bounce 中継する。(bounce (remail) message) ESC k mail-key PGP 公開鍵を送る。
メールの中継はメールをそのままの形で誰かに送り直すものです。メールの転送はコメントを加えたりなんらかの変更を加えて誰かに送り直すものです。これらに関しては次の節 ``Forwarding and Bouncing Mail''「メールの転送と中継」で詳しく説明します。
Mutt はメール作成メニュー(compose menu)を表示し、受信者を To: ヘッダ ーフィールドに入力するように促します。次に Mutt は Subject: フィールドを入力するように要求します。この時、返信か転送を行おうとしていた場合はデフォルトの Subjectを入れます。Muttがこれらの質問をどのようにたずねるかを変えるには $askcc、 $askbcc、 $autoedit、 $fast_replyを参照してください。
それから Mutt はメールの本文を編集するために $editorで指定されたエディタを起動します。この時 $edit_headers変数が指定されていれば、エディタの上の方にヘッダーを表示し編集可能にします。メールに返信しようとしている場合はもとのメールをもとの順どおりに取り込み、 $attribution、 $indent_string、 $post_indent_string変数に従い適切に整形します。メールを転送する場合に $mime_forward変数がセットされていなければもとのメールのコピーを本文に取り込みます。また $signature を指定していればそれも添えられます。
いったんメールの本文の編集を終えると再びメール作成メニュー(compose menu) に戻ります。ここでは次の操作が可能になります:
a attach-file ファイルを添付する。 A attach-message メールにメールを添付する。 ESC k attach-key 公開鍵を添付する。 d edit-description 添付ファイルの descriptionを記述します。 D detach-file 添付ファイルを削除します。 t edit-to To フィールドを編集し直します。 ESC f edit-from From フィールドを編集し直します。 r edit-reply-to Reply-To フィールドを編集し直します。 c edit-cc Cc フィールドを編集し直します。 b edit-bcc Bccフィールドを編集し直します。 y send-message メールを送信します。 s edit-subject Subject を編集し直します。 f edit-fcc Fcc するメールボックスを指定します。 p pgp-menu PGP のオプションを選択します(i バージョンのみ) P postpone-message メールを送信するのを延期します。 q quit メールを送信するのを中断します。 w write-fcc メールをフォルダーに書き込む i ispell スペルチェックを行います。(ispellがある場合のみ) ^F forget-passphrase メモリ上から PGP パスフレーズを消去します。
注意: メールを添付する機能を使うと添付しようとするメールがあるフォルダーを選択するようにプロンプトが表示されます。そこのフォルダーで添付しようとするメールにタグをつけることができます。このフォルダーにいる間は新しくメールを起稿したりメールに返信したり、メールを転送したりするような操作ができないということに注意してください。 $status_format 変数に %rが含ま れていればそれが 'A'に変わっていまメール添付モードにいるのがわかるよう になっています。
送信するメールのヘッダーを編集する場合、いくつかの特別な機能を利用することができます。
もし Fcc: filename を指定していれば Mutt はメール作成メニュー(compose menu)で edit-fccコマ ンドを使った場合と同じように扱います。
またファイルを添付する場合、次のようにすることもできます。Attach: filename [ description ] ここで filenameは添付するファイルの名前で、descriptionはファイルの種類で、省略することが可能です。
あるメールに返信しようとしている時に In-Reply-To: フィールドを削除すれば Mutt は Reference: フィールドを作成するのを中止するので新規のメー ルとして(スレッドを切って)送り出すことができます。
edit_headers も見てください。
PGPを使いたい場合は
Pgp:
[ E
| S
| S<id
> ]
を設定してください。「E」は暗号化、「S」は署名、「S<id>」はあらかじめ
$pgp_sign_asで設定しておいた鍵で署名します。
メールの暗号化を選んだ場合には、メールを送るときに鍵を選択するプロセスに入ります。メールの受取り手のメールアドレスに対応する保証付きのユーザー IDがある場合には mutt は何も質問せずにそれを使います。しかしメールアドレスに対応した鍵がいくつもある場合や、信用度が低い場合、メールアドレスに対応する鍵が無い場合があります。
そういう場合には、鍵のリストが表示された鍵を選択するメニューになります。そのメニューを終わるときや、muttが対応する鍵を見つけられない場合には、ユーザー
IDを入力するように求められます。このプロンプトは他の場合と同じように
G
を使って中止することができます。中止した場合にはメール作成メニュー
(compose menu) に戻ります。
鍵をちゃんと選ぶと、メッセージは選んだ公開鍵を使って暗号化され送信されます。
鍵選択メニューのほとんどの項目は自明でしょう( $pgp_entry_formatも参照してください)。ここでは flags、capabilities、validityのフィールドを説明しておきましょう。
%fは以下のフラグのうちのどれかに展開されます。
R 破棄され使うことができない鍵 X 有効期限が切れ使うことのできない鍵 d 自分で使用不可のマークをつけた鍵 c 未知の重要な自己署名パケットが存在
2つの文字に展開される capabilities フィールド (%c) は鍵の能力を表しています。1つめの文字は暗号化能力を表します。マイナス(-)の場合は暗号化に使えないことを意味します。ドット(.)は証明に使えるが暗号化にも使えることを意味します。eは暗号化に使えることを意味します。
2つめの文字は鍵の署名能力を表しています。マイナス(-)の場合は署名に使えないことを意味します。ドット(.)はあるユーザー IDに暗号化するための鍵であることを示しています。s は署名に使えることを意味します。
最後に、validity フィールド (%t)は鍵の信用度を表しています。クエスチョンマーク(?)は信用度が定義されていないことを、マイナス(-)は信用できない保証を、スペース文字は部分的に信用できる保証を、プラス(+)は完全な信用度を表しています。
muttを Mixmasterといっしょに使うように設定することもできます。Mixmasterは匿名リメイラ(remailer)です。Mixmasterはいくつかのリメイラを通して使うことでメッセージの発信元を隠してメッセージを送ることができます。muttでサポートしているのは mixmaster version 2.04 (beta 45 が最新のようです)と 2.03です。これ以前のバージョンと version 3 beta と呼ばれるもの(最新のものは 2.9b23)はサポートしていません。
Mixmasterを使うにはいくつかの制限があります。一番重要なのは、Ccと Bccへッダを使うことができないということです。Muttから mixmasterを使うには、まずメール作成メニューの max機能を使って一連のリメイラを選ぶ必要があります。
この一連のリメイラを選ぶ画面は2つの部分に分かれています。大きな上の部分は使うことのできるリメイラのリストを表示します。下の部分に今選ばれている一連のリメイラが表示されます。
この選ばれている一連のリメイラの鎖の中を chain-prev
関数と chain-next
関数を使って移動できます。この関数はデフォルトでは左と右の矢印キーと
h
と l
キーに割り当てられています(viのキーバインドを考えてください)。新しいリメイラを鎖の中のカーソルのある位置に挿入するには、insert
関数を使ってください。リメイラをカーソルの後ろに付け加えるには
select-entry
または append
を使ってください。対応する関数を使って鎖の中のリメイラを消すこともできます。最後にリメイラの鎖の編集を終わるにはメニューを終えるか
accept
を選んでそれから(デフォルトでは)リターンキーを押してください。
リメイラによって能力が異なることに注意してください。それはリメイラメニューの %cの項目で表示されています( $mix_entry_formatを参照してください)。一番重要なのは大文字の M で表示される middlemanの能力です。これはそのリメイラが他の mixmasterリメイラにメッセージを送ることはできるが、リメイラの鎖の一番最後にはなれないことを意味しています。他の能力については、mixmasterのマニュアルを見てください。
メールの転送と中継を使うことでいま持っているメールをほかの受信者に送ることができます。メールの中継は sendmail コマンドを利用して、そのメールのコピーを送ろうとしようとしている相手があたかも元々の受信者であるかのようにして送ります。メールの転送はそれとは対照的に再度送信する前にメールに変更を加えて送ることができます(例えばコメントを加えるなど)。
次のキーが初期値として割り当てられています:
f forward メールを転送する b bounce メールを中継する
メールの転送はオリジナルのメールを(それとわかるように示す行で囲んで)新しいメールの本文に含めるか、もしくは MIME 添付ファイルとして含めることができ $mime_forward変数の値でコントロールします。添付ファイルのデコードは(ページャーのように)、 $forward_decode変数と $mime_forward_decode 変数の値にそれぞれ依存しています。どちらの転送方法がよいかは転送しようとするメールの内容によります。そのため $mime_forward変数は quadoptionになっています、つまり ask-noという風に設定することができます。
へッダを含めるかどうかは mime_forwardが設定されていない限り、 $weedの設定によってコントロールされます。
転送するメールの編集はメールを新たに送信したり返信したりする手続きと同じです。
すでに書き始めたメールを後で送りたい場合が時々あります。こういう場合に postpone-message機能をメール作成メニュー(compose menu)で使うと、メールの本文と添付ファイルは $postponed変数で指定されたメールボックスに保存されます。こうすることでいったん Mutt を終了した後でももう一度そのメールを呼び出して編集することができるようになります。
いったんメールの送信が延期され $postponed 変数で指定されたメールボックスに保存された場合、そのメールを呼び出すにはいくつかの方法があります。コマンドラインからは -pオプションをつけて Muttを起動してください。またインデックスもしくはページャーで新規のメールを作成しようとすると延期したメールがある場合それを使うかどうか Muttが尋ねてきます。延期したメールが複数ある場合はどのメールの編集を再開するか選択できます。
注意: 返信のメールを延期したならば返信済のマーク(r)はそのメールの編集を終えて実際に送信した時につきます。また返信済のマークがきちんとつくように延期した返信のメールを送信する時は前にいたフォルダーと同一のフォルダーにいなければなりません。
$postpone もご覧下さい。